はじめに

文部科学省からも能動的な学習を目指す「アクティブラーニング」が推奨され、
日本でも課題解決型授業(PBL)が急速に導入され始めました。
しかし、日本の教育現場では、学校教師と生徒のみで完結するチュートリアル型が多く、
民間企業等との連携により実社会が学べる実践体験型は、まだまだ普及が進んでいないのが現状です。
AI-Labは、学生のうちに世の中で求められている実践力を磨く機会を設けることで、
卒業後即戦力となれる人材に成長して欲しいという想いから本授業を企画いたしました。

開催概要

今回は、AI-Labのグループ会社の出資先であり、
アマチュアスポーツ情報メディアを運営する株式会社グリーンカードの社員になったという設定のもと、
7週間に及ぶ授業の中で、アマチュアスポーツ業界に潜在する課題を抽出し、
新規事業の企画提案に挑戦していただきました。
AI-Labは、事業内容をより精緻に知る出資元並びに起業家としての立場で参加し、
ビジネスを考えるうえで必要な視点について助言いたしました。
また、運営として、本授業テーマの決定、プレゼン内容の評価、審査員派遣、表彰状の授与を
AI-Labが担当させていただきました。

審査基準

スケジュール

プレゼン会の様子

結果発表

結果発表

最優秀賞

Club Calendar

伊藤 美空

海外でみられるOB/OGからのアマチュアスポーツチームへの寄付によるサポートの文化が未だ根付いていない日本。その要因として考えられる「きっかけがない」「寄付金の不透明」「支援しても楽しさの実感がない」といった問題を解消する会員制Webサービスの運営を提案。

受賞者コメント
この度最優秀賞を頂き大変嬉しく思います。実際の企業にビジネス提案を行うという初めての経験で不安もありましたが、新たな自信へと繋げることができました。様々な角度からのアドバイスをしていただいたAi-Lab様、株式会社グリーンカード様をはじめ、ご指導いただいた皆様方に心から感謝申し上げます。今回の受賞を糧とし、今後も精進して参ります。
優秀賞

アマチュアサッカーチームと
カメラマンを繋ぐ紹介システム

小林 雛子、小林 夕紗、鈴木 萌奈加

アマチュア選手とその親からは、プレー中の写真や動画が欲しいという需要があるものの、プロのカメラマンへの依頼は高価であり「気軽に利用できない」「依頼先不明」「受け手がいない」といった現状がある。そこで、プロではないカメラマンの活躍に着目したサービスを提案。

受賞者コメント
この度は優秀賞を頂き、ありがとうございます。この授業ではマネタイズや実現性などリアルな考え方を学び、ビジネスの難しさを痛感しました。実際に企業の方にお話を伺い、直接提案するということはとても緊張しましたが、今後に活かせる学びが多く大変充実した良い経験となりました。
優秀賞

スマートボールサービス

金城 秀都、星野 竜輝

IoTを活用したスポーツ用品が拡大していく中で、ボールを蹴る動作における身体情報を収集できるサッカーボールが誕生したが「導入コストが高い」「技術の向上に繋がる保証がない」「そもそもの認知度が低い」などの課題もあり市場に普及していない。 そこで、個人の技術向上に当該サッカーボールの使用は効果的であるという前提のもと、市場での普及とマネタイズが可能なビジネスモデルを提案。

受賞者コメント
本講義を受ける前は、企業に対してどのように事業提案を考え、伝えればよいのかが理解できていませんでした。しかし今回の講義を経て、企業目線でビジネスについて考えるために必要な知識や技術を学ぶことができたので、これらの経験を今後の活動に活かして励んでいきたいと思います。ありがとうございました。

審査講評

芝浦工業大学 蘆澤准教授
芝浦工業大学デザイン工学部では社会実践力のあるデザイナー育成を目標にした教育を行っています。
私の所属は生産・プロダクトデザイン系なので、基本は「形ある製品」を主軸にしておりますが、昨今はICT技術の発展が著しいこともあり、たとえ形ある製品であってもシステムやサービスなどを含めた包括的な提案、すなわち新規事業創出提案のレベルが求められるようになってきています。
ですがこの時、どうしてもボトルネックになってしまう事象があります。それは「ビジネス感覚の養成」です。例えば仮に「ユーザーにとってよいデザイン」が考案できたとしても、それが高コスト体質であれば価格も高くなるのでユーザーはそれを購入・利用してくれません。つまり、ゴミを生み出してしまうことになりますし、それでは企業も存続が難しくなってしまいます。そのような悲しい結末にならないためには、単にユーザーにとってよいものを考案する一方で「同じような効用をもっと低コストで実現できないか?」といったような費用対効果に基づいた再検討が必要になります。いわば「ビジネスの基本」とも言える部分の話です。
ですが、教育の現場は産業界とは切り離された場所に存在するので、ビジネスの最前線にある具体的な話をするのが極めて難しい状況にあり、この「ビジネス感覚の養成」が中々うまくいかないという現状があります。
今回、ビジコンのご紹介をいただいた際に「授業外のコンテストではなく、演習授業の中にビルトインできないものか?」と思い、そのご相談をしたところ、快く引き受けていただいたことで開催を決断しました。授業の一環となったため、通常のビジコンとは違うスタイルになってしまったのと同時にAI-Lab様および株式会社グリーンカード様には様々なご負担を強いる事になってしまいました。
ですが、現場最前線の視点からご指導いただけたことで、ビジネスにおける新規事業創出の考え方や判断基準など、教育の現場だけでは学び得ない知識や感覚を習得させることができ、心より感謝しております。
特に本コラボレーション実施後、学生たちと費用対効果について違和感なく議論できるようになったことは大きな成果と考えております。
本コラボレーションの学修効果は極めて高く、今後も継続させていただければ幸いです。
また、このコラボレーションを通じて「ビジネス創出も出来る新しいタイプのデザイナー」を育成できたらと考えております。どうぞ今後とも宜しくお願いいたします。
株式会社グリーンカード 羽生代表
全授業を通して、当社のことを徹底的に分析し、いろんな視点で考えて頂いたということが、本当に有り難いことですし、嬉しかったです。
今まで「若い視点」というのを持ち得なかったので、学生の皆さんからのプレゼンを聞きながら、ハッとさせられたころもたくさんあり、大変参考になりました。
今後、アマチュアスポーツにどうのように価値を付けるか、この点に対してまた皆さんと意見交換ができたらいいなと思っています。

主催・後援

主催

  • AI-Lab
  • 芝浦工業大学

後援

  • 合同会社 UNITEDベンチャーキャピタル