2022/02/07
世界が認めるロボット・セラピー「パロ」は30カ国で7000体以上を販売【コロナ禍でも注目 最新医療テクノロジー】
欧米では日本で開発されたアザラシの赤ちゃんをモデルにしたロボット「パロ」が、医療現場や高齢者施設で大活躍している。
患者がパロと触れ合うことで、「抑うつ」「不安」「痛み」「認知症の暴言・暴力、徘徊(はいかい)などの周辺症状」といった症状を軽減させる「セラピー効果」があることが、海外の数多くの臨床評価や治験で認められているからだ。
パロは、国内では2005年から福祉用具として販売され、09年には米国食品医薬品局(FDA)が医療機器として承認している。欧州では今年から医療機器として輸出・販売が開始されている。
国内外でどれくらい普及しているのか。
パロの生みの親である「産業技術総合研究所」(茨城県つくば市)の柴田崇徳・上級主任研究員が言う。
「これまで世界約30カ国・地域以上で7000体以上が販売されました。うち国内では約3500体が販売されていて、その約50%が個人名義で『ペットの代替』や在宅介護の利用が多く、残りは高齢者施設、障害者施設、病院などの利用です。海外ではほぼ100%が医療福祉施設で購入され、セラピーを目的として利用されています」
海外でパロのセラピー(治療)目的の利用が普及するのは、医療体制の違いもあるが、ペット動物と触れ合う「アニマル・セラピー」の心理的効果や生理的効果などが広く知られ、よく理解されているからだ。
しかし、動物と患者の触れ合いには、アレルギーや感染症、噛み付き・引っかきなどの事故の懸念があり、治療法として承認されていない。
その代わりとなるのが、パロを用いた「ロボット・セラピー」というわけだ。
パロは数多くのセンサーが内蔵されていて、実際のアザラシの赤ちゃんの反応を実現している。「パロはAI(人工知能)の音声認識機能によって話しかけられた方向を向いたり、言葉に反応したり、新たな名前を学習します。また、全身に配置された『ユビキタス面触覚センサー』によって、なでられると心地いいという価値観を持っており、ユーザーとの触れ合いによって、徐々にユーザーの好みに合った反応をするように『強化学習』していきます」
パロは「ペット代替用」と「セラピー用」がある。セラピー用はパロを叩いたりしても、患者を興奮させる「怒る反応」などをしないように設定されているという。
一般家庭向けのペット代替用のパロの価格は、1年間の保証で42万円(税込み)からになる。
引用 日刊ゲンダイ DIGITAL:
https://hc.nikkan-gendai.com/articles/276998