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2022/03/17

東京大学、AIでアルミニウム合金の開発時間を3分の1に短縮

国立大学法人 東京大学や物質・材料研究機構(NIMS)らは、航空機の機体や工業部品で使われる2000系アルミニウム合金の設計条件と機械特性の相関を高精度で予測するニューラルネットワークモデルを開発した。共同開発を手がけた昭和電工株式会社が12月2日に発表した。

このモデルを活用することで、これまで困難であったアルミニウム合金の高温域での強度保持に最適な条件の探索を高速化し、合金の開発に必要な時間を2分の1から3分の1程度に短縮できる。

アルミニウムは、鉄に比較して軽く、加工性もよいため幅広い用途で使用されているが、アルミニウム単独では強度が低いため、一般には銅やマグネシウムなどを混ぜたアルミニウム合金として利用される。アルミニウム合金は、100℃以上の高温時に強度が急激に低下するため、用途に応じて、高温下でも強度を維持できる合金の開発が求められている。

しかし、アルミニウムに添加する元素の種類や合金自体の製造方法など、合金の特性に関係する要素が多く、求める特性を満たすアルミニウム合金の要素の決定には、開発者の経験や知見、評価や分析を重ねる必要があり、開発に長い時間がかかっていた。

こうした課題を解決するため、同社は内閣府が主導する「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」に参画し、NIMSや東京大学とともに、AIの一種であるニューラルネットワークを活用することで、材料開発を加速させ、さらにより広範囲での最適な合金設計条件の探索ができるシステムの開発を進めてきた。

本開発では、2000系アルミニウム合金を対象とし、一般社団法人 日本アルミニウム協会などの公開データベースから収集した同合金の410種類の設計データを用いて、室温から高温にわたる幅広い温度域での強度を高精度で予測するニューラルネットワークモデルを開発した。

ニューラルネットワークモデルの構造とパラメータを最適化することで、強度予測値の精度も評価できるようになった。なお、このニューラルネットワークでは、10000個の条件を2秒という速さで計算できるため、多くの設計の条件を短時間かつ網羅的に評価できる。

本開発において、任意の温度において必要な強度値を入力することで、それを満たす合金を得られる可能性が最も高い設計条件を提示する、「逆問題解析ツール」の開発にも成功し、200℃の高温下でも高い強度を維持できるアルミニウム合金を設計できるようになった。

引用 Ledge.ai:
https://ledge.ai/tokyo-univ-ai-alloy-dev/

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